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伝えたいこと。湧き上がってくるもの。
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 寝台列車「ほくりく」の個室(Bソロ)は思っていたよりも狭かった。
 それでも過去に一度だけ利用したことがある、京都行き寝台列車の4人同室タイプよりは、格段に居心地がいい。
 気が向いたら気兼ねなくカーテンを開けられる、寝返りを打つときの布団の擦れる音に気を遣わずにいられる、荷物は就寝時に邪魔にならないところに置いていられる、着替えも狭いベッドの上のみでしなければいけない相部屋タイプよりずいぶん楽だ。
 そのおかげか、枕が変わるとなかなか寝付けない私も、案じていたよりはゆっくり休むことができた。
 まあ、といっても、揺れる電車の中のこと、ほとんどずっと夢になりかけの取り留めのない連想や、不連続な記憶の羅列の中にいたのだけど。

 でも、明け方、確かに夢らしい夢を見た。
 線路の上をことことと進んでいく小さな列車。私は外の風景を見ている。
 全体的に青みがかった景色。
 線路は水面に浮いている。
 草がある。初めは水上に生えているのだと思っていたけど、よく見ると水面下に生えているのだ。
 鏡のように透き通った静かな水の中に、水草が揺れている。
 その上を、電車はことこと静かに走る。
 そんな夢を。


 6時20分に金沢駅に到着し、大きい荷物をコインロッカーに預けて、朝食をとり、バスに乗って兼六園へ。
 まだ朝早いため兼六園にはほとんど人がおらず、のんびりと広い庭園の散策を楽しんでいた。
 従業員のおばさんやおじさんたちが、竹箒で落ち葉をかき集めている。
 屋久島とは異なる、少し乾燥気味で厚みのない、けれどきめの細かい苔の上に、木々の隙間から日差しが斜めに差し入る。
 うっすらと色づいたもみじ。
 さらさらと流れる水路。

 山崎山と名のついた小山の裏手に差し掛かったとき。
 どきっとした。
 そこには氷室跡があった。
 木々に囲まれて静かに水を湛えている池。
 確かに「氷室」跡なんだと実感するのは、その水が静止しているから。一般的な池のように、水が動いている気配がまったく感じられない。
 静謐な、緑色の澄んだ水面と、それに映る木々。


 まるで、明け方の夢の続きを見ているようだった。

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植物と光と陰を撮るのが好きです。
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