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伝えたいこと。湧き上がってくるもの。
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 中学生のとき、学校で読もうと本棚から吉本ばななの『哀しい予感』を抜き出して持って行った日、その前日にクラスメイトの男の子が亡くなったと知った。
 数ヶ月前に何気なく買ったものの放置していた小説は、主人公の恋人が胃がんに侵され日々やせ細っていく話だった。そんな話だとは知らなかった。
 その本を読んでいる前後から、一番上の猫、ニケがものをあまり食べなくなった。

 そんな偶然は、いらない。

 4月20日、ニケが他界しました。
 これはちょっとおかしいと病院に連れて行ったところ、一件目では原因はわからず、2件目でおなかにしこりがあることがわかり、精密検査の結果、脾臓かリンパ腺に大きい腫瘍があると判明しました。
 悪性腫瘍の可能性が高く、その場合あちこちに転移している恐れがある。
 もし悪性でなくても、高齢のため摘出手術に耐えられないかもしれない。
 それがわかった頃には水もほとんど飲まなくなっていて。
 日々、目に見えて痩せていって。
 そしてそのまま。

 17年と8ヶ月。人間でいえば100歳を越えていたそう。
 でも、もうちょっと生きて欲しかった。そばにいて欲しかった。

 ここ数年、ほとんど毎日私の部屋で寝ていた。だから、部屋が寂しくて仕方がない。
 ふとした瞬間に、いつもいた場所で何も変わらず寝てるんじゃないかと思うときがある。振り向けばいるんじゃないかって。でもいない。
 私が6歳のときにきたニケ。いなかった頃のことを思い出せない。相棒だった。
 私にとって、とても大きな存在だった。

 どんなに今、生きていても、いずれはモノになるんだね。冷たくて硬くて動かないモノに。
 私は、あの子をちゃんと大切にできてたかな。大好きだよって伝えられていたかな。
 天国から見守っているよ、なんて、人間の勝手な感傷だ。自分を慰めるための想像。
 だから、生きている間にどれだけ思いを伝えられるか。どれだけ気持ちのこもったやり取りができるか。
 それこそが、本当に重要なことなんだと思う。
 死者は生き返らない。何も言わない。死者をどう扱ってどこに骨を収めてどれだけお参りをするかなんて、突き詰めて考えればきっと生きている側が自分の気持ちをどう納めるかってことなんだと思う。

 ただ、届いて欲しいんだ。
 大好きだよ、と、ありがとう、と、ばいばい、が。

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